生活を豊かにする5G通信技術


日付: 2020-06-07 閲覧数: 736



 今回は5Gネットワークの仕組みと通信技術の変遷及び今後の展望について記述したいと思う。


5Gネットワークの仕組み


 5Gでは現在の4Gネットワークの10倍から100倍の速度でのデータ配信を目指している。ユーザーは1秒当たり数十メガビット(Mb/s)という速度を大幅に上回る、1秒当たりギガビット(Gb/s)でのダウンロードが可能であると言われている。これにより、数秒で自分の携帯やタブレットに映画をダウンロードすることが可能となる。


5Gデータ転送速度が可能になると、バーチャルリアリティー等のアプリケーションや車の自動運転も可能になると期待されている。高速のデータ通信が求められ、バーチャルリアリティーや自動運転といった通信サービスが実現されると、通信時間の遅延がサービスの品質に直結することになる。


こうした理由から、5Gの目標は1000分の1秒未満の遅延時間を達成することが開発目標に設定された。1000分の1秒未満で情報の受送信が行える様にする為には、5Gの展開には新しい技術とインフラが必要となる。


 これまで使用されてきた4G通信は電磁スペクトルの無線周波数帯域で運用されてきた。しかし、ネットワークのユーザーが過密化し、以前よりも膨大な容量のデータ通信が要求されるようになった為、携帯電話のトラフィックでますます混雑するようになってきた。これを補うため、携帯電話通信周波数は4G通信の10倍から100倍高いミリ波帯域である30から300ギガヘルツの周波数が用いられることとなった。


電波の波長はセンチメーター単位であるが、ミリ波の波長は1ミリから10ミリの範囲で変動するためこの様に名付けられている。高周波ミリ波はコミュニケーション・ハイウェイに新たなレーンを作ることができるが、問題が一つある。


ミリ波は樹木やビルに容易に吸収(減衰)されるため、多くの基地局を高密度で配置しなければならない。これはスモールセルと呼ばれる。幸運なことに、こうした基地局はこれまでのもよりずっと小型で、消費電力も少なく、ビルの屋上や電柱に設置することが可能である。このような基地局の小型化は5Gのもうひとつのブレークスルー技術であるMassive MIMOにより支えられている。


MIMOはmultiple-input-multiple-outputを略したもので、各基地局のアンテナポートの数を大幅に増加させてミリ波に必要とされる小型アンテナを活用するコンフィギュレーションを意味する。


今後、5G通信が主流になると考えられるが、過去の携帯電話の通信技術2Gから現在の5Gに至るまでの変遷について記述し、今後の展望について考察したいと思う。


携帯電話の変遷 1980年~2007年


1980年代初頭のヨーロッパに現れた携帯電話ネットワークの第1世代はアナログ技術を用い、電話の発着信のための音声サービスのみを提供するものであった。これが変化したのは1990年代で、ヨーロッパはGMS規格を策定し、第2世代デジタルネットワークへと変遷を遂げた。ここから携帯電話は音声のみならず、データ通信・情報等の発信に主眼を置いたデバイス開発へと変化した。これは、携帯電話でテキストも送受信することが可能となったからに他ならない。


1990年代は、家庭からインターネットにワールドワイドにwebへ接続できるようになった10年であった。携帯電話で手軽にwebサイトにアクセスできるようになったのは1999年のノキア7110が初めてである。インターネットアクセスを切望する声によって、これまでのものを大きく上回るデータ取扱能力を持つ第2世代携帯電話ネットワークの開発が勢いづいた。携帯電話のデータ通信速度は2Gから2.5Gへと着実に増加してゆき(一般的なパケット無線サービスネットワーク)、その後2.75G (EDGE)のネットワークへと進んだ。


データ転送速度が上昇するに従って、携帯電話はカメラ、カラースクリーン、最新コンピュータ機能、大幅に強化されたウェブブラウザといった追加機能を搭載した多彩な能力を有する装置へと徐々に変貌していった。2000年代中頃までに、イギリスは第3世代の携帯電話ネットワークへ向かっていった。3Gの第1の目的はそれまでを上回るレベル、すなわち一般的には1秒に2メガビットレベルに近づくデータアクセスを提供することであったが、実際には音声サービスは依然2Gネットワークのものと変わりなかった。


アップルの出現 2007年~


2007年にアップル社がアイフォーンを発売した。スマートフォンの概念を根底から変えるきっかけとなった。アップル社は、携帯電話の主機能をコンピュータと考え、電話機であることは二義的なものと考えることで変革をもたらした。年々増加する電話機能と共に、アプリ開発がデータサービスの消費をさらに促進させた。ソーシャルメディア・アプリやグーグルマップのようなアプリは今や携帯使用で他を圧倒する存在となった。それに伴い、携帯電話会社のデータトラフィック量が著しく増加した。


さらなるデータトラフィック量に対応する為、2012年に4G通信が開発された。現在の4G(LTE)ネットワークはこうしたデータサービスを支え、50Mbpsを上回るスピードでインターネットアクセスが可能となった。このようなデータ容量の飛躍的な増加を背景に、携帯電話を用いてTVや動画の視聴も可能となった。今では、携帯電話で高解像度な動画の視聴が可能となり、今後ますますデータ通信量が増加すると考えられる。



5Gデータ通信の今後


データ容量は今後10年間増加し続けると考えられ、おそらく現在のレベルの1000倍に到達する。そのため、1秒当たりギガビット単位の速度を提供するネットワーク(5G)が必要となる。現在では日常的に使用するウエアラブル機器が普及する様になった為、携帯電話は複数のウエアラブル機器と接続されることが要求されている。2020年までには1つの携帯電話を用いて同時に10のウエアラブル機器と接続されると見込まれている。


いわゆるIOT(モノのインターネット化)を可能にするためには、限られた資源である無線周波数をどのように割り当て、どのように使用するかを定めるための新しいアプローチが必要となる。これからのネットワークにはエネルギー消費や運用コストの面で、これまで以上の効率が求められるようになるだけでなく、変化し続ける使用目的に動的に適応できるよう、更に幅広い要求に対応可能なシステムの開発が進むと考えられる。


5Gは人体へ悪影響を及ぼすか?


5Gは我々の日々の暮らしをより良いものにしてくれる一方で、健康に有害である可能性を私的する声がある。こうした懸念の声の多くは、5Gで高エネルギーミリ波放射線が使われることに関するものである。


ペンシルバニア州立大学の生物工学教授であるKenneth Foster氏は、「放射線という言葉が使用されているので、電離放射線と非電離放射線が混同されている人がいる」と説明する。「どのような光も空間を移動するエネルギーなので放射線である。


危険なのは電離放射線で、これは化学結合を破壊するためである」とも説明する。我々が屋外で日焼け止めを使うのは電離放射線が存在するからで、電離放射線は空からの短波長の紫外線が原子から電子をはじき出すに十分なエネルギーを持っていて、皮膚細胞やDNAを傷つける。ところがミリ波は長波長の非電離放射線で、細胞に直接ダメージを与えるだけのエネルギーは持っていない。


「確認されている非電離放射線の危険性は唯一、熱しすぎるということだけである」と50年近くも電波の健康への影響について研究しているFoster氏は言う。「高レベルでの曝露では確かに無線周波(RF)エネルギーにも危険性があり、火傷やその他の熱損傷の原因となるが、曝露というのは一般には近くに高出力の高周波トランスミッターがある特殊な環境下か、ごくまれに医療処置の不手際があった際に発生するくらいである」と説明する。


一般の人々による5G採用への抗議の多くが、過去の世代の携帯電話技術に対する懸念をそのまま持ち込んだものである。疑い深い人は、非電離放射線への曝露が脳腫瘍から慢性頭痛に至るまでの様々な病気の原因になる可能性は依然としてあると信じている。何年もにわたり、こうした懸念について調査する何千という研究が行われてきた。


2018年に実施された国家プロジェクトによる研究では、2Gおよび3G携帯電話からのRF放射線にオスのラットを曝露させた場合に、10年かけ脳腫瘍と副腎腫瘍が増加することを示すエビデンスを見いだしたが、マウスやメスのラットはこの限りではなかった。こうした動物への曝露量は人間の曝露に許容される放射線の最大レベルの4倍であった。


RF波の使用に反対する人の多くが自説を裏付ける研究だけを取り上げ、試験方法の質や結果の矛盾についてはしばしば目をつむっているとFoster氏は言う。彼は過去の世代の携帯電話ネットワークについて懐疑論者の下した結論の多くに反対しているが、5Gネットワークが健康に及ぼす影響の可能性についてはさらなる研究が必要であることには同意している。「5G技術に関わる毒性試験が十分には行われていないため、私も含め私が知るすべての人達が5Gについてもっと多くのリサーチを実施することを勧めています」とFoster氏は言う。


5Gの擁護者の多くは、5Gには未だ明らかにされていないものはあっても、これを圧倒的に上回るメリットを社会に提供してくれると信じている。「5Gは我々の生活を様変わりさせる影響力を持ち、根本的に新しいことを可能にするでしょう」とKrishnaswamy氏は言う。こうした類のアプリケーションがどのようなものになるのか、その影響力はいか程のものになるのか、現時点で確実に言えることは無い。我々が驚嘆するようなもの、間違いなく社会に変化をもたらすものになる可能性がある。今後の5G技術の開発と活用に係る研究に期待したい。


出典:livescience



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